真珠岩を急速加熱すると得られるパーライトは高性能な軽量骨材としてセメント、
モルタル、サイディングボード、除滓材や緑化剤としても使用されています。

パーライトの用途

パーライトの基礎的な説明は【パーライトとは?】ページをご覧ください
更に詳しい化学的な説明は【パーライトの化学的物質特徴】ページをご覧ください

パーライトの主たる用途

パーライトは1952年に濾過助剤として誕生しました。1954年から全世界で大規模に使用されており高い安全性が証明された物質であり、軽量で無機多孔質であり、優れた濾過性能を始めとした優れた性質を多数有しています。

パーライトはアメリカのジョンズ・マンビル社とグレート・レークス・カーボン社による主に珪藻土濾過助剤(商品名:セライト)の代替品として誕生しましたが、現在ではその物質特徴である優れた軽量化性能に着目し、建材や部品の軽量化を目的として添加され使用されており、濾過助剤分野以外でも大量に使用されています。最近では、特にフィラー、充填材分野で大きく消費を伸ばしており、新たな使い方としてパーライトが持つ、含浸、吸液性能を期待した、キャリアー(安定基材)、樹脂製品添加剤、歯科印象材、塗料のつやけし剤、シリコンゴム、製紙業界での消費を伸ばしています。
本ページではパーライトの具体的な用途を説明して参ります。

濾過助剤 食品加工分野での濾過助剤としての使われ方

世界中で大規模に食品加工分野濾過助剤として使用されてきたパーライトは、高い安全性が証明された物質です。

現在の日本国内においてパーライトの食品系濾過助剤として代表的な分野がビール業界です。麦とホップ等の主原料を煮出して発酵、濾過させて完成するビールは、皆さんが普段飲んでいる澄み渡った完成品に至るまで、様々な濾過工程を辿ります。

食品濾過助剤としてのパーライトはサブ的な位置づけで使われる事が多く(他分野ではメインで活躍しています)、珪藻土とパーライトを組み合わせて使用されています。

ビール業界でも珪藻土と同時に使用されている事が多いのが実情です。尚、この珪藻土とパーライトの使用のタイミングや添加量が美味しさを決定する極意(企業秘密)である為、決まった使用製法などはありません。つまり、添加量やタイミングを変える事で、そもそもビールの種別が変わり、味も変わります。

更に詳しい濾過手法や濾過助剤については、【濾過助剤としてのパーライト】のページをご覧ください。


パーライトをボディーフィード法で使う場合の使用例

大径粒の除去対象物質(濾過したい物質)にパーライトは優位に濾過性能を発揮する場合が多い様です。

濾過助剤 化学工業分野での濾過助剤としての使われ方

化学的に非常に安定しているパーライトは触媒やキャリアーとしても使われています。また、液体からの固形物分離だけで無く、気体からの固形物分離(気体濾過分野)においても多用されています。嵩高いパーライトは気体噴霧にも適しており、何かの物質を担持させることによって触媒効果を狙った、化学反応を行いながらの、気体濾過なども大変得意です。そして、耐薬品性に優れ高温にも耐えうる素材であることから、様々な場面で活躍することができます。また、パーライトの嵩高いという特徴は使用後のゴミ重量を低減させる効果もあります。

更に詳しい濾過手法や濾過助剤については、【濾過助剤としてのパーライト】のページをご覧ください。

軽量化など優れた物質特徴の利用

近年、パーライトは濾過助剤よりも、断熱材や充填材などの分野で大きく活躍しています。元々、火山岩(火成岩の一種で、火山の火口近くで急速に冷え固まったもの)である真珠岩や黒曜石を加熱膨張させた多孔質シリカなので、軽量でかつ燃えません。具体的に防火性、防音性、断熱性などの特徴を有しており、最近ではサイディングボード(家などの壁材)で使用されます。液化天然ガス(LNG)の貯蔵タンクや船舶などの冷蔵・冷凍保存の分野でも大規模に使用されます。LNGなどの超低温で断熱を行う際は、真空状態にした壁内にパーライトを充填して使われます。セメントに添加する事で軽量化やポゾラン反応などの性能向上が得られる為に建材分野でも多く消費されています。

更に詳しい軽量骨材としての説明は、【軽量骨材としてのパーライト】のページをご覧下さい。

また、高度に焼成管理を行うと、綺麗な中空球体のパーライトの製造が可能です。塗料に添加すると、ハンドリングが良くなり、艶消しすることが出来ます。

充填材・フィラーとしての更に詳しい説明は【フィラーとしてのパーライト】ページをご覧下さい。

最近の新たな使用方法

1970年頃から様々な分野で用途発見の始まったパーライトは、現在も新しい使用方法の発見が続いています。その中でも消費量を増やしているのが、除滓材や土壌改良剤(緑化剤)としての利用です。除滓材とは鉄鋼石を鉄や鋼に製錬する過程で、溶かした鉄鉱石の中のスラグ(不純物)を絡め取る際に用います。パーライトを用いることで、スラグのみを分離抽出することが可能となりました。抽出したスラグは肥料として使用でき、パーライトも緑化材としてできることから、そのまま肥料として使用することが可能で、効率的で環境に良いエコな処理が出来ます。

また、パーライトはシリカ質(非晶質シリカ※1)であり、肥料等の物質を担持する使い方や、水や空気をよく通すという反する二面性能を両立させており、この機能を利用して、土壌改良剤としての消費が伸びています。

パーライトは大変軽量なため、ビルの屋上などの緑化工事で肥料を担持させて土壌として使用すると、水やりや追肥等のメンテナンスを軽減させる。軽量なので、既存の建築物への敷説も可能となります。

※1)シリカには、結晶質シリカと非晶質シリカがあり、昭和化学で取り扱う珪藻土及びパーライトは非晶質シリカに分類されます。

更に詳しい説明は【緑化・土壌改良としての活用方法】のページをご覧下さい。

除滓材の詳しい説明は【除滓材としてのパーライト】のページをご覧下さい。

枯渇資源の代替品としての期待

フライアッシュバルーンとは石炭を燃焼させると偶発的に生成される物質ではありますが、近年製造方法を原因として枯渇が心配される物質です。冒頭書いた様に真珠岩を高度に燃焼管理すると名前の語源ともなっている真珠の様な中空球体形状に膨張加工する事が出来ます。近年の技術発展からこれらの美しい中空球体形状のパーライトの製造が可能となりました。このパーライトはフライアッシュバルーンと同様の形状と性能を有しており、フライアッシュバルーンの代替品として使用出来ます。

今後の状況次第では枯渇の心配があると言われているフライアッシュバルーンの代替品として近年注目を集めています。

詳しくは【フライアッシュバルーンの代替品】のページを参照下さい。

最後に

パーライトはマグマが固まった火成岩を加工して人工的に作られる物質です。そして本格的な工業利用が始まって60年ほどの基材としては、まだ若い物質であります。利用発明も未だに相次いでおり将来性の高い基材と言えます。昭和化学工業では、パーライトが益々社会と人類の役に立てる様に出来うる限りの研究と啓発活動に取り組む活動を行っております。共同開発や共同研究、可能性の研究依頼などお気軽にご相談下さい。

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